02 / TECHNOLOGY

技術情報

なぜ従来の方法ではなく、NSPOPER®という選択肢が必要なのか。整備現場の課題、聞き取り結果、比較検証から順に説明します。

BRAKE OVERHAUL GUIDE

ブレーキキャリパーのオーバーホール(OH)とは

安全な制動を支える、
点検・分解・部品交換の整備。

ブレーキキャリパーのオーバーホールは、キャリパーを分解してピストンやシール、ダストブーツなどを点検・交換し、正常な作動を維持する整備です。NSPOPER®は、その工程で行うキャリパーピストンの取り外しを支援する専用の特殊工具(SST)です。

01 / WHY CHANGE

製品より先に、現場の課題を考える。

取り外せないから、交換する。
その判断を減らせないか。

キャリパーピストンの状態によっては、取り外しに多くの時間と労力がかかります。作業が難しい場合には、キャリパー全体の交換という判断につながり、部品代や作業費としてお客様の負担が増えることもあります。

01

時間と労力

ピストンの状態や従来の取り外し方法によって、作業時間と身体的な負担が増える。

02

交換判断

取り外しが困難な場合、再使用可能な部品があってもキャリパー交換の判断につながることがある。

03

複数ピストン

対向ピストンや複数ピストンでは、位置を調整しながら順番に作業する必要がある。

04

安全への配慮

急な飛び出し、ブレーキフルードの飛散、車両や設備への付着に配慮が必要。

錆が発生しブレーキキャリパーから取り外されたピストン
ACTUAL CONDITION整備現場で取り外された、錆の進行したキャリパーピストン。

不具合が表面化する前の点検・オーバーホールと、取り外し作業を支える専用工具の必要性を示す一例です。

02 / PREVENTIVE MAINTENANCE

ブレーキ整備を、
事後対応から予防整備へ。

不具合が出てから
ASSY交換

ブレーキシステムメーカーの案内には、車種やメーカーにより、シールやダストブーツを2〜4年ごとに定期交換するよう推奨している例があります。

定期的なOHで、
安全と安心を維持する。

不具合が現れてから大きな修理を行うのではなく、定期的な点検とOHによって、ブレーキ本来の状態を維持する。予防整備は、お客様が安心して運転を続けるための選択です。

NSPOPER®は、ブレーキOHの作業負担を軽減し、現場が予防整備を選びやすくすることを目指しています。

交換時期や点検方法は車種・使用状況・メーカー指定により異なります。必ず対象車両の整備要領書および部品メーカーの案内を確認してください。

03 / FIELD EVIDENCE

整備士への聞き取りから見えたこと。

ブレーキOHは、
当たり前の作業になっていない。

オーバーホールが難しく交換判断となった使用済みブレーキキャリパーOVERHAUL UNAVAILABLE / REPLACED

取り外しや再使用が難しく、オーバーホールではなく交換判断となったキャリパーの一例。

MECHANIC INTERVIEW68%

「作業しない」
「稀に作業する」と回答

作業しない・稀に作業する 68%その他 32%

展示会での整備士聞き取り調査(2024年1月以降、n=134)に基づく当社関連資料の集計。市場全体を代表する統計ではありません。

WHY IT MATTERS

交通事故全体が減っても、
ブレーキ整備の重要性は減らない。

公表統計をもとにした2010年と2020年の比較では、交通事故全体が大きく減少した一方、ブレーキの整備不良が原因とされる事故の減少幅は小さいことが分かります。

交通事故全体−57.4%

725,924件 → 309,000件

ブレーキ整備不良事故−15.6%

128件 → 108件

2010年・2020年の比較。国土交通省および交通事故総合分析センターの公表統計をもとに整理した参考値です。数値の利用にあたっては、各原典の最新情報もあわせてご確認ください。

04 / NSPOPER®

そこで、水圧という選択肢。

作業者がコントロールしやすい、
専用工具へ。

NSPOPER®は、ブレーキキャリパーピストンの取り外しを目的に設計した専用工具です。水圧を利用し、作業性と周囲への影響に配慮した取り外しを支えます。

加圧状態を確認しながらピストンの動きを管理することで、急な飛び出しを抑制。事故やけがのリスク低減に配慮し、作業者の安全を支えます。

CONTROL

動きを見ながら加圧

圧力計を確認しながら、ハンドル操作で少しずつ加圧。ピストンの動きに合わせて、進める・止めるを作業者が判断できます。

WORKPLACE

飛散を抑え、同時に洗浄

作動液に水を使うため、残留するブレーキフルードを希釈・洗浄しながら取り外しが可能。キャリパー内部のクリーニングも並行でき、車両や工場設備への付着リスクを抑えます。

MULTI PISTON

対向・複数ピストンにも

エアーのように一気に押し出すのではなく、圧力と動きを見ながら段階的に作業。従来は調整に手間がかかった複数ピストンの取り外しを進めやすくします。

PRESSURE

小型で、最大10 MPa

一般的な工場エア圧の約10倍に相当する圧力域。倍力装置が作動した強い制動時に相当する高圧域を、対象キャリパーへ直接かけられます。

限界圧力10 MPaは製品の機械的な上限値です。通常の使用圧力は5 MPaとし、圧力計を確認しながら対象部品の状態に応じて作業してください。工場エア圧との比較は0.8〜1.0 MPaを目安とした概算です。

DIRECT CONNECTION

車上でブレーキを踏む方法との違い。

車上でペダルを踏む方法は、マスターシリンダーのストロークで送れる液量に限りがあり、車両の油圧回路を介するため、対象以外の車輪側にも圧力や液量が分配されます。

NSPOPER®は対象キャリパーへ直接接続。逆止弁による一方向の水路で、ハンドルを操作するたびに対象へ水を送り続けます。車上の操作では動かなかったピストンにも、圧力を逃がさず継続して加えられる構造です。

WORK STANDARDIZATION

経験だけに頼らない作業へ。

ブレーキOHは「ベテランに任せる作業になりやすい」という現場の声があります。圧力を数値で確認し、加圧の手順を揃えることで、作業判断を共有しやすくします。

実際の使用現場からは、経験の浅いメカニックにも作業を割り振りやすくなったという声も寄せられています。技能者の監督と整備要領書に基づき、作業品質の均一化を支えます。

05 / COMPARISON

ブレーキキャリパーOHのために、
一式を専用設計。

NSPOPER®は、加圧機構だけでなく、圧力計、耐圧ホース、ブレーキキャリパーへ接続するCPプラグまで、オーバーホール作業で使用することを前提に設計しています。

比較項目一般的な比較対象品*NSPOPER®違いの意味
想定用途配管などの耐圧試験キャリパーピストンの取り外し

設計の出発点となる用途が異なる

主なポンプ材質アルミニウム真鍮(黄銅)

使用環境を考慮したポンプ構成

比較資料上のピストン径φ22 mmφ16 mm

加圧時の操作性に関係する

10 MPa時の参考操作力約680 N(約69 kgf)約224 N(約23 kgf)

社内比較では操作負担に差

限界圧力製品仕様による10 MPa

用途に対する仕様を明示

* 当社関連の類似品比較資料で対象とした水道試験ポンプとの社内検証値。すべての水道試験ポンプに当てはまる数値ではありません。また、数値差を材質だけに帰属させるものではありません。

06 / SAFETY NOTE

用途の異なる工具を、
ブレーキ整備へ流用する前に。

水道試験ポンプなど用途の異なる工具を流用する場合、本体だけではブレーキキャリパーへ接続できません。キャリパー側のねじ規格に合うプラグや変換継手、耐圧ホースを別途用意し、接続部を含めた耐圧性や密封性を使用者自身で確認する必要があります。

設計や組み立てが使用条件に適合していない場合、液漏れ、接続部の外れ、工具や部品の破損、予期しないピストンの動作などにつながり、作業者、車両、工場設備へ影響を及ぼす可能性があります。

NSPOPER®は、ブレーキキャリパーOHに必要な加圧・接続・圧力確認を一式で行うための専用工具です。

INTELLECTUAL PROPERTY

独自機構は、国際特許出願中。

国際出願中であることだけで、直ちに特許権が発生するものではありません。ただし、出願内容に含まれる構造を模倣した製作・販売・業務での使用は、各国での審査・権利化の状況と、成立した権利範囲によって知的財産上の問題となる可能性があります。自作・改造を検討する場合は、公開公報と最新の権利状況をご確認ください。

NSPOPER® MISSION

ブレーキOHを、特別な作業から当たり前の整備へ。

単にピストンを取り外すだけではなく、整備士が負担に感じていた作業のハードルを下げ、必要な整備を選択しやすくすること。事後対応に偏りがちなブレーキ整備を予防整備へと近づけ、整備不良を減らし、お客様がより安心して車を利用できる社会につなげることが、この工具のミッションです。

点検・整備・部品交換は、必ず各車両メーカーの整備要領書と指定手順に従い、必要な知識・資格を有する作業者が行ってください。

07 / DEVELOPMENT

現場から考え、現場で確かめ、現場へ届ける。

完成品だけでなく、つくる過程も伝える。

  1. 01現場の声

    作業者が感じている不便や要望を直接受け取ります。

  2. 02課題整理

    作業条件、安全性、接続方法などを具体的に整理します。

  3. 03設計・検証

    実際の使用場面を想定し、試作と確認を重ねます。

  4. 04改善

    使用者の意見を改良と次の製品開発につなげます。